アメリカのロードアイランド州に位置する美術学校ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの付属美術館(通称・RISD美術館)は、日本美術を多数含む約10万点の充実した収蔵品を誇る施設だ。そのコレクションのうち、浮世絵の花鳥版画を中心とした「ロックフェラー・コレクション」を紹介する展覧会が、1月17日(土)から3月1日(日)まで、千葉県の千葉市美術館で開催される。
コレクションを築いたのは、アメリカの名門ロックフェラー家の一員で、慈善家のアビー・オルドリッチ・ロックフェラー(1874-1948)だ。ニューヨーク近代美術館の発案と設立に尽力したことでも知られる彼女は、日本の花鳥版画に魅了され、1916年にその収集を開始。10年以上にわたって700点以上の花鳥版画を集め、1934年にその全点をRISD美術館に寄贈した。
このコレクションは、役者絵や風景画、美人画ではなく、花鳥版画を中心に据えた点で世界的にも稀有なものだという。同展では、コレクションから厳選した163点が、35年ぶりに日本への里帰りをはたすが、なかでも大きな見どころは、北斎と広重の作品群だ。江戸末期に出版した花鳥版画が人気を博した北斎は、庶民までもが花鳥の画題を楽しむきっかけをつくった功績をもつ。その後、多くの絵師が花鳥画に取り組んだが、なかでも広重は花鳥画で随一の作画量を誇った。初の収集品が広重の作品だったアビーのコレクションは特に広重が充実しており、今回は110点の優品をたっぷり楽しむことができる。また注目したいのは、伊藤若冲の《雌雄鶏図》 が、日本初公開されること。こちらは他に所在が知られておらず、唯一の版と考えられているそうだ。
アビーは、花鳥版画、ひいては日本そのものに恋をしていたという。同展では、花鳥版画に囲まれて過ごした彼女の生活を想像させる空間も展示室で再現する。19世紀のジャポニスムの流行により、大半が海外に流出した花鳥版画の優品を国内で多数目にできる機会は限られている。描かれた季節、花や鳥の種類、制作した絵師、作品のかたちなど、いずれも多彩な里帰り作品の数々を、この貴重な機会にゆっくりと堪能したい。
<開催情報>
『開館30周年記念 ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン所蔵 ロックフェラー・コレクション花鳥版画展 北斎、広重を中心に』
会期:2026年1月17日(土)~3月1日(日)
会場:千葉市美術館
時間:10:00~18:00(金・土曜日は~20:00、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜、2月24日(火) ※ただし2月23日(月)は開館
料金:一般1,800円、大学生1,200円




