喜多川歌麿の「深川の雪」、11億円で落札 国内に唯一残る3部作

神奈川県箱根町の岡田美術館で収蔵されていた江戸期浮世絵師・喜多川歌麿(?~1806)の肉筆画「深川の雪」が、競売大手のサザビーズが香港で開いたオークションにかけられ、約5500万香港ドル(約11億円、手数料込み)で落札された。同社によると、歌麿作品の落札額で最高値だという。

 作品は、縦約2メートル、横約3・5メートル。東京・深川の料亭で、遊女や芸者たちが雪を眺めたり火鉢を囲んでくつろいだりする姿などが描かれている。「品川の月」「吉原の花」とともに「雪月花」3部作として制作されたとされる。当初の落札予想額は600万~800万香港ドル(約1億2千万~1億6千万円)だった。

 「月」と「花」は米国の美術館が所蔵している。落札者は明らかになっていないが、3作品全てが海外所蔵となる可能性がある。

 「雪」は、1948年に東京で開かれた展覧会に出品された後、所在が分からなくなっていたが、2012年2月に東京の古美術商が発見。鑑定と修復をした後、岡田美術館で収蔵・展示されていた。

 今回のオークションでは本作を含め、葛飾北斎伊藤若冲の作品など、同館収蔵品から125点が出品。北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は約2172万香港ドル(約4億3600万円、手数料込み)で落札された。

 内藤正人・慶応大教授(日本美術史)は、歌麿や北斎の作品が高額で落札されたことについて、「やはりそこまで行ったか、という驚きがある。浮世絵は、影響を与えた印象派などに比べて価格が低かった感もあるので、グローバルスタンダードに移行しつつあるのかもしれない。落札者が誰にせよ、公共財としてきちんと扱われることが望ましい」と話している。

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