岡田美術館(箱根、館長・小林忠)で、6月9日から12月8日まで、歌川広重「東海道五十三次」(保永堂版)を中心とした特別展が行われます。
本展は、東海道五十三次の最後の宿場・庄野宿の完成から400年、また箱根駅伝第100回という節目の年を記念しての展覧会です。展示室では、富士山を描いた絵画の名品や、京都の人気絵師・伊藤若冲と円山応挙、広重と同時代を生きた江戸琳派の鈴木其一らの作品約30件もあわせて公開されます。
「東海道五十三次」で旅気分 ―富士に琳派に若冲も― |
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会場:岡田美術館(神奈川県足利下郡箱根町小涌谷493-1) |
会期: 【前期】2024年6月9日(日)~9月12日(木) 【後期】2024年9月13日(金)~12月8日(日) ※「東海道五十三次」全55枚は前期・後期に分けて展示 |
休館日:会期中無休 |
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで) |
入館料:一般・大学生2,800円(2,550円)小中高生1,800円(1,550円) ※()内は前売り料金。前売り券(JTBレジャーチケット、チケットぴあ)は 主要コンビニエンスストア並びにチケットぴあにて販売 |
詳しくは美術館公式HP(https://www.okada-museum.com/)へ。 |
見どころ1:江戸時代の美術と楽しむ東海道
江戸時代は、絵画・工芸ともに豊かな個性をそなえた画家・作家が全国各地で活躍し、ジャンルを問わず多彩な作品が生まれた時代でした。「東海道五十三次」に加え、江戸と京都を中心に、江戸時代の美術の中から東海道にちなんだ作品を展示します。
京琳派のスター・尾形光琳の実弟である尾形乾山のやきもの、江戸琳派の酒井抱一と弟子の鈴木其一、京都の人気絵師・伊藤若冲や円山応挙など、華やかな顔ぶれが揃います。
見どころ2:富士山と行く、東海道五十三次の旅
「東海道五十三次」全55図のうち、神奈川県から静岡県に及ぶ7図に富士山が描かれます。その大半は白い雪をかぶった神々しい姿で、旅人たちを遠くから見守るように表されます。今も昔も万人に愛され、尊敬を集める富士山に注目し、さまざまな表現により霊峰を描いた作品が鑑賞できます。
見どころ3:名所旧跡からグルメまで、旅情報が盛りだくさん
「東海道五十三次」には、古くから親しまれた名所旧跡をはじめ、鳴海宿の有松・鳴海絞(染物)、鞠子宿のとろろ汁といった各地の名産品も描かれます。当時の人々は、豊富な情報とともに広重の版画を楽しみ、旅気分を味わったことでしょう。展示では、本作のガイドブックとしての性格にも注目。絶大な支持を集めた理由を探ります。
特集展示「源氏物語の世界」にも注目
本展では同時期に「源氏物語」をテーマにした特集展示も行われます。本特集では、『源氏物語』にゆかりのある絵画・工芸作品10数件により、「源氏物語の世界」を楽しめます。
平安時代中期(11世紀)に紫式部が記した『源氏物語』は成立当初から好評を博し、「源氏物語絵巻」(12世紀)をはじめ、さまざまな形で絵画化されました。とりわけ江戸時代には、分かりやすい注釈を加えた書物やパロディ本が出版され、公家や武家だけでなく庶民にまで浸透したことから、美術においても多彩な作品が生まれています。
江戸から京都まで、展示室にいながらにして旅気分を楽しめる展覧会となりました。天下の険・箱根の山中で、江戸時代の旅風情をたっぷりと味わってみてはいかがでしょうか。