リニューアルオープン記念展 ブルターニュの光と風 画家が憧れたフランスの異郷

ブルターニュ地方は、フランス北西部の海に突き出た半島にある。このたび同地西端にあるカンペール美術館から、ブルターニュの風土や人々を描いた絵画がやってくる。本展の見所の一つは、作品を通してその豊かな自然や独自の文化に触れられるところだ。
中世のころ、ブリテン島(イギリス)から同地に移住したケルト系のブリトン人が、独立した国を作った。彼らはフランス王国に編入された後も、古来の伝統を守り続けた。19世紀から20世紀にかけて鉄道網が発達すると、遠方への関心が高まる。ブルターニュには起伏に富んだ海岸や荒地が広がっており、独特の風習を守りながら、慎ましく暮らす住民がいた。近代化の進んだパリとは異なる情景に魅了された多くの画家たちが、ブルターニュに集まった。
いずれもパリ生まれの画家で、テオドール・ギュダンはフランス語で「美しい島」を意味するベル=イルを訪れ、波が打ち寄せる沿岸を迫力たっぷりに描いている。また、アレクサンドル・セジェは岩だらけの荒野を画題に選んでいる。
ブルターニュでは、各地域でそれぞれ特色のある民族衣装を身にまとっている。コワフという頭巾もその一つで、ピエール・ド・ブレはコック帽のようなコワフを被った女性を描いている。同地はポール・ゴーギャンらがポン=タヴァン派を形成した近代美術史上、重要な地である。本展では同グループのみならず、大画面の迫力あるサロン(政府による展覧会)出品作や、バンド・ノワール(黒い一団)による黒を基調とする作品などが展示され、様々な絵画表現に触れることができる。
フランスでも辺境とされる地域の絵画を観る、またとない機会となる。リニューアルを経てきれいになった展示室で、見所たっぷりのこの展覧会を堪能してほしい。

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