浮世絵をもっと知るために。訪れたいミュージアム3選
猫を擬人化した戯画や、名所を写した風景画。お化けに骸骨にイケメン和装男子まで。美人画のほかにも魅力的な浮世絵はたくさん。「浮世絵って楽しい!」と深掘りしたくなること必至の3館を厳選。
本記事は、BRUTUS「通いたくなるミュージアム」(2025年1月10日発売)から特別公開中。詳しくはこちら。
みんな大好き北斎、その深い魅力に浸る
すみだ北斎美術館(東京/両国)
現代アートにも通じるポップな面と、マニアックで奥深い魅力とを併せ持つ、世界一有名な浮世絵師。葛飾北斎は宝暦10(1760)年に本所界隈(現在の墨田区南部)で生まれ、生涯のほとんどを墨田区内で過ごした。その木版画や肉筆画から摺り物、版本まで網羅する。
墨田区の蒐集に加え、世界的北斎コレクターのピーター・モースや浮世絵研究者の故・楢﨑宗重(ならさきむねしげ)のコレクションも。美術館の建物は妹島和世が設計。4階から東京スカイツリーも見える。
すみだ北斎美術館
2016年開館。AURORA(常設展示室)では、錦絵制作工程の紹介も。AURORA観覧料一般400円。©︎Forward Stroke
住所:東京都墨田区亀沢2-7-2|地図
TEL:03-6658-8936
営:9時30分~17時30分
休:月曜
浮世絵推したちも太鼓判の専門美術館
太田記念美術館(東京/原宿)
- 歌川芳員《東海道五十三次内 大磯をだハらへ四リ》四ツ切判錦絵、嘉永6(1853年)。
- 四代歌川国政《志ん板猫のそばや》大判錦絵、明治6(1873)年。「いそがしい晩だ」とぼやく猫店員がいたり、1匹だけ本物の猫がいたり、隅々まで見たくなるのも浮世絵の魅力。〈太田記念美術館〉企画展『江戸メシ』(~1月26日)で展示。
- 歌川芳員《東海道五十三次内 大磯をだハらへ四リ》四ツ切判錦絵、嘉永6(1853年)。
- 四代歌川国政《志ん板猫のそばや》大判錦絵、明治6(1873)年。「いそがしい晩だ」とぼやく猫店員がいたり、1匹だけ本物の猫がいたり、隅々まで見たくなるのも浮世絵の魅力。〈太田記念美術館〉企画展『江戸メシ』(~1月26日)で展示。
01/02
ここでのユニークな企画展をきっかけに浮世絵ファンになる人も多い、原宿駅から徒歩5分の浮世絵専門美術館。収蔵品は、実業家の5代・太田清藏(せいぞう)が昭和初期から蒐集(しゅうしゅう)した個人コレクション約12,000点を含む約15,000点。
葛飾北斎や東洲斎写楽、歌川国芳、歌川国貞から月岡芳年や葛飾応為(おうい)まで、木版画と肉筆画がともに充実しており、時代もジャンルも幅広い。フォロワー数20万超えのSNSで繰り広げられる、細かすぎる浮世絵解説も大人気。
太田記念美術館
1977年設立、80年現在地で開館。常設展示はなく、入館料は企画展により異なる。
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10|地図
TEL:050-5541-8600(ハ)
営:10時30分~17時30分
休:月曜
何でも描ける天才、暁斎ワールドへ
河鍋暁斎記念美術館(埼玉/蕨市)
- 河鍋暁斎《蛙の人力車と郵便夫》肉筆画、一幅。
- 河鍋暁斎『暁斎漫画』より《富士越鯰》。妖怪・カエル合戦・踊る骸骨百態などが並ぶ絵本(明治14[1881]年刊)より。猫をのせた鯰(なまず)は当時の政治を風刺したもの。
- 河鍋暁斎《蛙の人力車と郵便夫》肉筆画、一幅。
- 河鍋暁斎『暁斎漫画』より《富士越鯰》。妖怪・カエル合戦・踊る骸骨百態などが並ぶ絵本(明治14[1881]年刊)より。猫をのせた鯰(なまず)は当時の政治を風刺したもの。
数え7歳で歌川国芳に入門し、狩野派にも学んだアバンギャルドな天才絵師、河鍋暁斎(かわなべきょうさい)。伝統技法で描く仏画や美人画から、三味線を弾く骸骨や踊る妖怪などのユーモラスな戯画まで、あらゆるものを描ける画力で「何でも描ける」と謳われた。
その曽孫が開設した館は、伝来の下絵も含めた約3,000点を所蔵。2ヵ月ごとにテーマを替えて暁斎一門の作品を展示する。暁斎は大のカエル好きとしても有名で、ミュージアムショップのカエルアイテムは必見!
河鍋暁斎記念美術館
1977年開館。一般600円。
住所:埼玉県蕨市南町4-36-4|地図
TEL:048-441-9780
営:10時~16時
休:火曜・木曜・毎月26日~末日休。喫茶コーナー付きのミュージアムショップは水曜~13時も休み。