「最後の浮世絵師」月岡芳年に焦点 幕末から明治へ作風変化 忠臣蔵登場人物の戯画など展示 赤穂

 赤穂市立歴史博物館(兵庫県赤穂市上仮屋)の常設展示「義士コーナー」が展示替えされ、幕末から明治に活躍し「最後の浮世絵師」と呼ばれる月岡芳年(1839~92年)の浮世絵が飾られた。典型的な歌川派の浮世絵から、西洋の画風を取り入れた写実的な作品まで計41点が並び、忠臣蔵の世界とともに幕末から明治への時代の変わり目が垣間見える。(小谷千穂)

同館では1989年の開館から忠臣蔵に関する浮世絵の収集を続け、現在約2千枚を所蔵。義士コーナーでは、2月下旬と7月下旬の年2回展示替えをし、毎回テーマを定めて浮世絵を展示している。

 今回焦点を当てた月岡は、12歳で浮世絵師の歌川国芳に弟子入りし、20歳ごろから本格的に活動を始めた。初期は国芳の画風を踏襲した武者絵や役者絵を手がけたが、江戸末期から明治の初めには残酷な血の描写が特徴の「血みどろ絵」を発表。明治6(1873)年ごろから、洋画の要素を加えて人物を写実的に描写した独自の画法を形成した。

 会場では、戯画が得意だった月岡らしく忠臣蔵の登場人物をコウモリに見立てた絵や、四十七士の武具調達を手伝った大阪の商人が拷問を受ける場面を創作した絵などを紹介。大石主税(ちから)がモデルの大星力弥を描いた作品では、時代考証をし江戸前期の若者が着ていた服装を再現するなど、史実に近い姿で描こうとする意図が見て取れる。

 同館の木曽こころ学芸員は「月岡は長い間あまり知られていなかった。1人の絵師の作風を通して、江戸から明治へと変わる激動の時代の雰囲気を味わってほしい」と呼びかけた。

 午前9時~午後5時。200円(小中学生100円)。水曜休館。7月下旬まで。歴史博物館TEL0791・43・4600

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