お江戸浮世絵プロデューサー

展覧会の詳細

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 浮世絵版画は、絵師、彫師、摺師の分業制により量産された商業出版物です。その企画から販売までの統括を行ったのは、浮世絵制作のプロデューサーともいえる版元(地本問屋)でした。叙情豊かな風景表現で知られる浮世絵師・歌川広重も、企画者である版元から依頼を受け、コンセプトや制作コストなどの意向に合わせて作画を手掛けました。その画中を注視すると、広重の落款だけでなく版元の印章も見付けることができます。
 本展では、出世作「東海道五拾三次之内」や最晩年の傑作「名所江戸百景」を通して、保永堂(竹内孫八)、錦橋堂(山田屋庄次郎)、紅英堂(蔦屋吉蔵)、魚屋栄吉など、広重の画業を支えた版元たちに注目します。そして、商品展開や販売戦略といった浮世絵出版流通の様相を探ります。

会 期2024年2月29日(木曜日)から3月31日(日曜日)
休館日:毎週月曜日、3月21日(木)
場 所展示室1(1階)
開館時間午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料大人520円(420円) ※(  )内は20名以上の団体料金
▲18歳以下無料
▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料
▲毎週水曜日はフリーウエンズデー(観覧無料)
▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料)
関連イベント■学芸員による作品ガイド
 日時:2024年3月10日(日) 午前10時30分~(30分程度)
 場所:展示室1(1階)
■美術館ボランティア幽遊会による概要説明
 日時:随時(要事前予約)

本展の見どころ

浮世絵師・歌川広重を支えた版元たちを紹介

 出世作「東海道五拾三次之内」や最晩年の傑作「名所江戸百景」を通して、保永堂(竹内孫八)、錦橋堂(山田屋庄次郎)、紅英堂(蔦屋吉蔵)、魚屋栄吉など、広重の画業を支えた版元たちを取り上げます。

#歌川広重「東海道五拾三次之内 小田原 酒匂川」中山道広重美術館蔵
※版元名にちなみ「保永堂版東海道」と通称されているシリーズです。

#※絵師の署名「広重画」の下に「保永堂」の朱印があることから、版元の保永堂(竹内孫八)より出版されていることが分かります。

版元の販売戦略に注目

 広重による連作シリーズは、完結後に目録を加えた画帖仕立て(冊子形式)で販売されることもありました。複数の版元が協力し、共同出版を行う場合もあります。版元のさまざまな販売戦略に迫ります。

#歌川広重「名所江戸百景 佃しま住吉の祭」
中山道広重美術館蔵(吉村コレクション)
※版元の魚屋栄吉より出版されたシリーズ。左下の枠外に「魚栄」という印が押されています。

#梅素亭玄魚「一立斎広重 一世一代 江戸百景」
中山道広重美術館蔵(吉村コレクション)
※広重の没後に制作された「名所江戸百景」シリーズの作品目録。デザインは、梅素亭玄魚が手掛けています。

画中に隠れた広告

 浮世絵は、広告媒体としても機能しました。その画中には、さり気なく商品の広告が隠れていることもあります。仙女香(白粉)や美玄香(白髪染め)など、化粧品の事例をご紹介します。

#歌川広重「東海道五拾三次之内 関 本陣早立」
中山道広重美術館蔵(田中コレクション)

#皃の薬 仙女香
しらが薬 美玄香
京ばし南てんま丁三丁め坂本氏

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